輪ゴムの知識

ゴムの話

01.天然ゴムとゴムの歴史

ゴムは奇妙な物質である

「ゴムは奇妙な物質である」とはある著名な物理学者の著書の冒頭の文です。ゴム用語辞典によれば、「ゴム」とは「室温にてゴム弾性を有する高分子物質あるいはその材料(生ゴム)」となっています。この定義は「ゴム架橋体」あるいは「ゴム加硫物」と、その原料となる「生ゴム」の両方の意味に用いられることを意味しています。
オーバンド®に用いられる原料ゴムは天然ゴムであり、これは一般にゴムの木と呼ばれる植物の樹液を採取することで得ることができます。ゴムの木は、「ヘベアブラジリエンシス(Hevea brasiliensis)」の名前が示すとおり中南米原産で、かつてはオルメカ、マヤ、インカ文明などでゴム製の像が宗教的な儀式に用いられ、またゴムボールを用いて一種の球技が盛んであり、コロンブスは第二次航海において、ヨーロッパ人として初めてこのゴムボールを見たといわれています。

ゴムの科学的研究の第一歩を進めたのはフランス人地理学者コンダミーヌと仏領ギアナの植民地政庁技師フレスノーです。パラゴムがテレピン油に熔解することを見いだし、南米から帰国後パリ科学アカデミーにパラゴムについての報告書を提出。その頃の利用方法としてはもっぱら雨合羽用のゴム引布など、ごく限定された範囲にとどまっていました。


ゴムの塊が従来にない弾力性を発揮する、加硫という現象

1939年、米国人グッドイヤーはストーブの上に硫黄といっしょに置いていたゴムの塊が従来にない弾力性を発揮するのを見て、加硫(Vulcanisation)という現象を発見しました。今のオーバンドに代表される加硫ゴムは、ほんの偶然から見つけ出されたのです。

また、英国人ハンコックはゴムの加工と機械についての開拓者であり、グッドイヤーから加硫ゴム試料を入手してその重要性を認めました。加硫という意味を表す英語「Vulcanisation」は、古代ローマの火の神ヴァルカンにちなんで彼がつけたものです。

グッドイヤーとハンコックによる加硫の発明後、ゴムの需要が拡大し、イギリス東インド会社を中心に、天然ゴム増産のためゴムのプランテーションの確立が企画されました。ゴムを産出する草木は数百種を超えるとされていましたが、まず植物学者の研究からHevea種が最適とのレポートが出され、1876年、東インド会社の委託を受けたウィッカムがアマゾン川中流からHevea brasiliensisの種子7万粒をイギリスに送りました。これらの種子はロンドン郊外のキュー植物園に運ばれ、約2600本の苗木が生き残りました。この苗木は再び海を越えてセイロン島、マレー半島、ジャワ島に運ばれ、今日の東南アジアの広大なゴム樹プランテーションの元となりました。
石油から作られる合成ゴムが広く普及した今でも天然ゴムの需要は旺盛です。オーバンド®はもちろんのこと、車のタイヤなどで天然ゴムは欠かすことのできない原材料です。


シートゴムとブロックゴム

原料ゴムとしての天然ゴムは、その形状からシートゴムとブロックゴムに大別されます。シートゴムとはシート上で乾燥したものを重ね合わせて約50cm角の立方体にプレス成形したものです。なかでも不純物を充分に水洗し、熱風で乾燥したものはクレープと呼ばれ、淡色配合に重用されるが高価です。

ブロックゴムは凝固した小粒状のゴムを洗浄・乾燥させた後、プレス成形して約70×40×15cmくらいのブロックとし、ポリエチレンシートで包装したものです。等級は規格化されており、代表的なSMR(Standard Malaysian Rubber、標準マレーシアゴム)の他に、インドネシアのSIR、タイのTTR、スリランカのSCR、シンガポールのSSRなどがあります。

出典:日本ゴム協会編「新版 ゴム技術の基礎」(1999)

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